
2008年12月13日 放送分
理科は実験しないと意味がない
理科を勉強する場合は、まず自然や物事に対して「不思議だな」、「なんでだろう」と、疑問に思い、好奇心を持つことが大切です。
私が教師をしていた頃、理科の授業では、プリントによる学習よりも実験を重要視していました。小学校6年生の授業の中に「体のつくり」を学ぶ時間があり、牛の心臓を解剖したことがあります。普通であれば人体模型を使って勉強するのですが、それではありきたりで面白くないと考え、その時住んでいた地域の特産品である但馬牛の心臓で解剖を行いました。バレーボールとバスケットボールの中間サイズで、分厚い筋肉の塊でもある牛の心臓に、子どもたちは初めこそ「気持ち悪い」と言っていましたが、次第に興味を持つようになりました。そして、圧倒的な存在感に感動し、大きな牛の体に血を送る心臓は、すごい力を持った臓器であることを学ぶことができました。
今、多くの大学院では優秀な大学院生を欲しています。しかし、自ら率先して物事を研究していけるような、優秀な人材が少ないのが現状です。原因をたどると、幼い頃から行われてきた教育の中で、問題には必ず答えがあり、それを覚えることが勉強である、という習性が染みついているからだと考えられます。
ただ単に知識を詰め込むのではなく、例えば、学校の帰り道で川に向かって石を投げたり、夕陽を見て感動したりすることが、理科を学ぶ上で大切になります。すなわち「子どもたちにとって大事なことは何か」ということをしっかり見据えた教育が必要だと言えるでしょう。