
2009年2月7日 放送分
考えるということは書くということ
最近、「PISA型学力」という言葉をよく耳にするようになりましたが、みなさんはご存知でしょうか。PISAとは国際学習到達度調査のことです。その中に、読解力のテストがあるのですが、日本型とは異なる考え方が存在します。日本では、一つの言葉に注目して、「どんな意味を持っているのか」「何を指しているのか」と文章を読解するための知識や技術を問うのですが、PISAでは「この問題についてあなたはどのように考えるか」と思考全体を問うのです。
私自身、PISAの問題文を読んだり、海外の事情を見てきたので分かるのですが、PISA型の読解力を身に付けるには、自分の考えをキチンと展開していく能力が必要となります。日本人は、割と物事を直感的に考える傾向がありますが、必要なのは論理的思考です。物事のつながりをまず論理的に展開して再構成する作業を、頭の中でしなくてはならないのですが、これはハッキリ言って難しい。そこで書くことが重要になるのです。
今、自分が思ったことをとりあえず書くという教育方法は、要するに作文指導になります。私が尊敬しております野口芳宏さんという国語の先生がいらっしゃるのですが、野口先生も「考えることは書くことだ」というお考えをお持ちで、小学生に1年間で400字詰め作文用紙800枚くらい書かせたという話があります。
私たちは物事を覚えるときには書いて覚えますが、考えるときにも書くことが大切です。そこで、常日頃からノートを持ち歩いて、何か思いついたらすぐに書くという癖をつけるといいでしょう。そうして書き慣れてくれば、それは考え慣れることと同じになります。とにかく、自分の頭の中にあるものを全部書き落とし、そのあとで書かれているものを見て、どのように再構成すればいいのかを考え、清書する。実は、これが考えるということなのです。