
2009年5月9日 放送分
聞く能力を鍛える
書く能力や読む能力は一般的ですが「聞く能力」はあまり耳にしません。「しっかり聞きなさい」「こっちを向いて聞きなさい」というのは態度を注意しているだけ。「聞く能力」がない子どもは真面目に聞いている顔をしていても、後で質問すると答えられなかったりします。きちんと聞くには能力が必要です。そして、能力は鍛えることが出来るのです。
書く能力や読む能力を鍛えるには書き取りや音読が効果的ですが、聞く能力を鍛えるには何をすればいいのか悩んでしまいがちです。そこで私が薦めるトレーニングは聞き書きです。聞く能力が弱い子どもは聞いた音を言語化、文字化することを苦手としています。一度に聞き取れる文字数を7文字程度だと考えても、それだけでは文章になりません。そこで、例えば「これは国語の本です」と話して聞かせ、子どもが一字一句それを書き取る方法で練習すると、聞き取り能力を伸ばすことが出来るでしょう。
実は「聞き書きドリル」を作ろうと思い、東北大学の川島隆太先生の研究室に協力してもらい、実験をしたことがあるのですが、聞くことが得意だという人より、聞き書きをした人の方が、圧倒的に脳を使用しているのです。単純に聞くだけでは脳はほとんど活動していないことが分かりました。
例えば私の講演会にお越しいただいた方の中に、必死でメモを取る方がいらっしゃいますが、家に帰ってメモを見直すということはあまりしないでしょう。それというのも、話しを聞いて書いている段階ですでに脳が活性化して覚えるようになっているからです。
特に最近では聞けない子どもが増えているといわれています。その背景には、親子の対話が少なくなっている現状があるとも言われており、私も心配しています。一言二言でもいいので、親子の会話を大切にしていただければ、その中から聞く力というのは育つと思います。